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和菓子業界の「今」を知る ―全国436事業所への調査で見えた課題と希望―

和菓子業界の「今」を知る ―全国436事業所への調査で見えた課題と希望―

和菓子店の数が、この10年で2割も減っていることをご存知でしょうか。

2006年に14,000店を超えていた和菓子店は、2015年には11,442店に。業界の95%を占める小規模事業者では、後継者不在や職人の高齢化による廃業が加速しています。

京都製菓製パン技術専門学校では、文部科学省委託事業「和菓子×アート×デザインを軸とした地域創造型キャリア教育推進事業」の一環として、和菓子・洋菓子・ベーカリー・観光宿泊業の事業者を対象に全国規模のニーズ調査を実施しました。436事業所から寄せられた回答からは、業界のリアルな姿が浮かび上がってきました。

経営課題のトップは「人材採用の難しさ」

「貴社が抱える経営課題は何ですか?」

この問いに対し、最も多かった回答は「人材採用の難しさ」で64.7%。次いで「コスト増加(原材料費・人件費等)」が60.6%、「従業員の定着・キャリア形成」が57.8%と続きました。

上位3項目すべてが「人」に関する課題です。どれだけ素晴らしい商品を作る技術があっても、それを継承し、発展させていく人材がいなければ、事業の継続は困難になります。

厚生労働省の調査によると、和菓子職人を含む「菓子製造工」の有効求人倍率は令和4年平均で3.15倍。慢性的な人手不足が数字からも裏付けられています。

求められるのは「技術力」だけではない

では、業界が求める人材像とはどのようなものでしょうか。

「今後、従業員に求められる能力は何ですか?」という設問では、「技術力(味・見た目の品質)」が61.5%でトップ。やはり職人の世界、技術は基本中の基本です。

しかし注目すべきは2位以下の結果です。「チーム連携・マネジメント力」が50.2%、「マーケティング力(顧客ニーズ把握)」が46.1%、「クリエイティブ力・デザイン表現力」が42.4%と、技術以外の能力も高い割合で求められています。

小規模事業者が多い和菓子業界では、一人の職人が製造だけでなく、販売、接客、原価管理、SNS発信まで担うことも珍しくありません。「技術があれば良い」という時代は終わり、多様なスキルを持つ人材が求められているのです。

効果的な教育とは

「効果的だと思う教育は何ですか?」という問いには、「基礎的な技術教育」が66.3%で最多。「現場即戦力を育てる実践型教育」が54.4%、「商品開発・創作力を高める教育」が46.3%と続きました。

本事業の有識者委員会でも、京都の老舗和菓子店の経営者から同様の意見が寄せられています。

「あん玉取り・包餡・どら焼きのさじ切りなど、どの店でも共通する基本技術は最低限身につけてほしい。これができるだけでも仕事を任せることができ、即戦力になる」

「広く浅くでも基礎を押さえておけば、入社後にさらに技術を高められる」

基礎の徹底こそが、即戦力への近道。シンプルですが、現場からの切実な声です。

教育機関が果たすべき役割

30年前、「菓子の専門学校は時間とお金の無駄」と言われた時代があったそうです。しかし今、現場の育成力が低下する中で、学校教育の役割はますます重要になっています。

本事業では、このニーズ調査の結果を踏まえ、VR教材やオンデマンド講義動画を活用した新しい教育モデルを開発しています。伝統的な技術継承と、現代社会で求められる多様なスキルの習得。その両立を目指し、京都から全国へ発信できるモデルを構築してまいります。

和菓子は令和4年に文化庁「登録無形文化財」に登録されました。この日本の宝を次世代につなぐため、私たちは教育という切り口から挑戦を続けます。

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